ニードルキャップの解説


産みの親としてひと言

余談ですが、現在一般的に使用されている「ニードルキャップ」という呼称、日本で最初にそう名付けて販売したのは2004年当時の私です(NAロードスター用)。それまで世間では「指針キャップ」と呼ばれていましたが野暮ったいので新たな呼び名を考えたのです。

 

そもそも、針に被せるキャップではなくて針の基部に被せるキャップなので「ニードルキャップ」も本当はおかしいんです。正確には「指針基部キャップ(The cap for base of needles)」ですがまず浸透しないと考えて「ニードルキャップってちょっと変だけどまあいいか」と断腸の思いで付けた当時の記憶が蘇ります(でも今、アフターパーツを販売する会社やヤフオクでもなんの迷いなくこう呼んでいてとても不思議な気分です)。

 

金属>樹脂メッキ≧純正>>>カラー

さて、RetroActiveでは金属製を標準付属としていましたがEscapeesではオプション設定です。純正ニードルもなかなか凝った造りなので「そのままでいい」という人向けの配慮です。ただ、純正は少し小ぶりな印象があり、そこを適正な視覚的バランスとすべく設計してありますのでご予算の許す方はぜひ同時装着をお薦めします。

 

また、金属製よりお求めやすいABS製の「クローム」と「ブラッククローム」を新規で設定しています(当初はカラーバリエーションの試作をしたのですが、ここをカラーにすると急に安っぽくなる、というか後付け感が急激に強まるためお蔵入りとしました。あくまで私の主観ですが「ここはモノトーンであるべきだな」という結論です)。


RetroActiveでの解説(転載記事)

ニードルキャップについて

2019年にシエラが納車となり、じっくりとメーターを観察してまず目が向いたのは、純正指針基部でした。天面に切削痕風の意匠が施されていて面白いなあと感じたのです。しかし、いかんせんそのひ弱なシルエットが少し残念でとても惜しいとも思いました。日頃プロダクトデザインや造形業を生業とする私には「形状は極力シンプルに・質感はできるだけ上質に」というのが長年変わらぬ信念としてあります。今回の製品に採用するのは、他車種用に設計した従来のシルエットをジムニー用に相応しいものとしてブラッシュアップしました。材質は、指針の精度に影響を与えないようアルミニウムとし、C面には耐腐食・耐摩耗性の皮膜を形成する特殊な切削工程による鏡面仕上げを採用し、また着色アルマイトによってメインパネルとの親和性を追求しています。「メインパネルをブラックに、ニードルキャップはシルバーに」といった組み合わせ変更で表情が全く変わるのも面白いところ。ハイエンド音響機器のボリュームダイヤル等にも採用される贅沢な風合いをお楽しみください。